千年投資の公理を読んだ。随分と仰々しいタイトルだけど、中身は「堀」についての分析で一貫している。
中世では城の周りの堀が敵の侵入を食い止めたように、経済的な「堀」はその企業に高い利益率を保障し、競合他社からの攻撃を食い止める役割を果たしている。
本書ではそういった「堀」を幅広く深く持っている競争力のある企業への投資を推奨するものだ。
バフェットによって広まったこの堀は、投資の素人でもビジュアル的にイメージしやすい概念で、なるほどと思って本を手に取ってから2時間で読み終えてしまった。
誤解されている堀の代表例の説明があった。自分も実際誤解していたように思う。
P35
筆者の経験では、1素晴らしい製品、2大きなマーケットシェア、3無駄のない業務遂行、4優れた経営陣ー などが「誤解されている堀」の代表的なものだ。この四つの罠にかかると、実際にはありもしない堀を持っている魅力的な企業に見えてしまう。
素晴らしい製品がなぜ「堀」じゃないのか。それは、いずれ模倣されてしまい、優位性を失うからだという。なるほど。
確かにどんなに優れた製品を持っていても、他社から模倣という名の攻撃を受けてしまうようでは、堀とは言えないか。
P49
構造的な優位性とは、1無形資産、2顧客の乗り換えコスト、3ネットワーク効果、4コストの優位性ーの四つがもたらす。もし堅実なROCを上げていて、これらの特性の一つを持った企業を見つけることができれば、堀のある企業を探し当てた可能性が高い。
うーん、なんかこれ「フィッシャーの超成長株投資」とつながる気がする。
超成長株って、堀のある企業なんじゃないか?
読了後に頭に浮かんだのは、アップル。バフェットのポートフォリオでも高い割合を占めている。
日本企業だとパッと思いつかない。だからバフェットは日本株に対してあまり手を出さないのか。昨年話題になった総合商社への投資は、堀というよりは割安感で投資したんだろう。業種的に商社はピンとこない。
私見では、ネットワーク効果だと楽天の楽天カードと関連サービスは沼感があっていい感じかも。
主力株のジーエルサイエンスはどうなんだろう。ジーエルサイエンスに堀はあるのか?業種的に新規参入はあまりない気がするけど。
半導体向け石英部材は業界一位ではないし、分析機器は島津製作所の一人勝ちか?
今は稼げているけれど、これからも稼げるのかな。
ちょっと調べてみるか。調べて堀がなかったらショックだけど。
ちょっと調べてみるか。